ペパボの基盤整備エンジニアであるantipopさんにお借りして読んだのでまとめる。
感想を書くまでが読書です。
アジャイルソフトウェア開発宣言がよい
アジャイルソフトウェア開発宣言
プロセスやツールよりも個人と対話を、
包括的なドキュメントよりも動くソフトウェアを、
契約交渉よりも顧客との協調を、
計画に従うことよりも変化への対応を、
右の価値が素晴らしいのは言うまでもないが、
この宣言のよいところは、左の価値を認めているところだと思う。
ユーザーストーリー収集についての説明がよい
非エンジニアにとって細かい仕様考えるのは難しい。
仕様を言葉にしても、お互いの頭の中には違うものが描かれていることなってよくある。
そんなときにユーザーストーリーを作ってそれをベースに話ができると、具体的なイメージが描けると思う。
具体的なイメージを共有したいとき、「プレスリリースやお知らせブログの内容を考えて作る」というやり方もよい。
リリース時に売りとなるポイントを皆で話し合うことで、ブレを少なくすることができると思う。
思い描いていることに相違があるのは当たり前で、それ前提でどうすればコレジャナイロボを作らないかは、やっぱり「対話」なんだと思う。
スクラムのプラクティスを最適化して取り入れる
このブログでも朝会やカンバンのことを書いたことがあるし、どちらも毎日行なっている。
カンバンの形式は2,3度変わって、今はランニング・リーン方式のカンバンでやっている。
朝会やカンバンは、今でも継続して続いているよい習慣だけど、すぐにマンネリ化してしまうので常に手を入れないといけない。
ぬか床みたいだなあ、と思う。
すべてをやらないとスクラムではない、というドキュメントも読んだことがあるけど、スクラムのよいプラクティスを部分的にでもチームに取り入れることは素晴らしいことだと思う。
ペアプロ、CI,技術的な部分での導入は、チームのエンジニア陣が社内でも早い段階から取り組んでくれているので大変頼もしい。
ちなみにぬかに手を入れたことは無い。
リクルートの事例のアジャイル思考の話がよかった
80%の精度ができていて残り20%の精度を上げていくのに同じ時間がかかるのなら、リリースしよう、手戻りが発生してもそれは割り切ろう。(80%ルール)
まさに「動くソフトウェアを」だ。こういう考えはとても共感を覚える。
プロダクトオーナーって誰?
P214にあった、マネージャーの役割。
オープンな環境作り、頻繁なフィードバック、フィールドへ出かける姿勢などなど。改めて見直すよい機会となった。
受託開発をイメージすると、プロダクトオーナーはクライアントだと思うんだけど、ウェブサービスを運営する自分たちにとってプロダクトオーナーって誰なんだろう?
サービス責任者(マネージャー)になるのかなあ。だけど、本当にマネージャーが次に作るぞ!といったものが正しいのだろうか。
うーん、もやもやっとしたものが少しあるんだけど、なんかまとまらない。
追記:2013/02/25
後半にあった、プロダクトオーナーに求められる6つの条件という話と、本田宗一郎の話を読み返したらもやもやしてたものが晴れた。
正解を知っていなければプロダクトオーナーになれないわけじゃないんだ。
本田宗一郎も自分で考え自分で創りだしてきた人だった。
テストに対する重要性と疑問
テストについては、同僚からテストの重要性を数年に渡って教えてもらってきたので、非エンジニアにしてはだいぶ理解している方だと思っている。
技術的負債の話など非常に実感することが多いし、テストは重要だと思っている。
けれど、アジャイルの「素早く作ってリリースしてフィードバックを得ながら改善していく」というサイクルの中では「素早く作る」という部分を阻害するものにはならないのだろうか。
テストを書くということは、初期投資を大きくすることでその後の改善サイクルが早くなる、というイメージあって(P150にある図)、相反するものなのではないかという疑問がある。
テストにかかるコストとリターンをうまく見える化できるといいなと感じた。
P149にあった楽天の事例ではどう見える化したんだろう
自分はマネージャーだけど「テストって大事だよね!」と声を大にして他のマネージャーにも啓蒙していけるように、このへんの疑問もクリアにしたいなと思う。
後半は非常にアツかった
何かを作るときにいきなりプランができるのではなく、経験から得た動機がある。
動機は主観だから、客観へ、一般化するプロセス(共同化・Socialization)があってはじめてプランになる。
PDCAの前に、まず思いありき、共同化ありき。
熱い。
「スクラムとは、機能単位の階層や組織ではなく、どこをとっても会社のビジョンに向かった判断・行動を共有する自己相似形の知識想像活動であり、それを実践する人々である。」(若干端折った)
これも熱い。
スクラム本の最後にページに「会社のビジョン」という言葉が出てくるとは思わなかった。
なぜかここを結びつけて考えていなかった自分が恥ずかしくなった。
プラクティスや事例よりも、最後の章にこそ、この本の価値を感じた。
この本は熱い本だったのだ。